韓国の首都ソウルと聞くと、近代的なビル群が立ち並ぶ江南や、歴史的な建造物が残る北村を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ソウルにはこれらの華やかなエリアとは対照的な場所も存在します。
その一つが、ソウル最大のスラム街と言われる九龍村(クウリョンマウル)です。
今回は、ソウルの「最大のスラム」とも言われる九龍村を訪れ、その現状や歴史、そしてそこで暮らす人々の生活について紹介します。
九龍村とは?
九龍村は、ソウル市江南区に位置する小さな村で、1980年代に再開発の影響を受けて住む場所を失った人々が集まり形成された地域です。
元々、江南エリアは急速な都市開発が進められた地域ですが、その波に乗れなかった人々が行き場を失い、次第にこの地に定住するようになりました。
現在では、数百世帯が暮らす仮設住宅群として知られています。
九龍村の名前は、「九つの龍」という意味を持ち、村の形が龍のようにくねくねと曲がっていることから名付けられたと言われています。村の住人の多くは、高齢者や低所得者層で、韓国社会の経済的格差の象徴とも言える場所です。
実際に行ってみた!
ソウルの中心部から地下鉄で移動し、最寄りの駅からバスを乗り継いで九龍村の入り口へ。
周囲には高級マンションや大企業オフィスビルが立ち並んでおり、その間にぽつんと九龍村が存在している様子は、まるで異世界に迷い込んだような感覚です。
九龍村の風景と生活
村に足を踏み入れると、舗装されていない細い路地や、トタン屋根の小さな家々が密集している光景が広がります。
まるで時間が止まっているかのような風景で、ソウルの中心部とは全く異なる雰囲気です。
古屋の周囲至る所にゴミが積まれています。通れないぐらいの高さまで達しているところもあります。
家の壁にはカーペットや断熱材などがかけられ、冬の寒さをしのぐための工夫が随所に見られました。
ある家の前を通ると、おばあさんが石炭をくべて暖を取っていました。韓国では今でも一部の家庭で「練炭(ヨンタン)」と呼ばれる燃料を使って暖房を取る習慣がありますが、九龍村ではそれが主要な暖房手段のようです。
しかし、一方で火事の跡が残る家や、崩れかけた建物もありました。
九龍村では火事が頻繁に発生することが問題となっており、特に冬場は暖房器具の使用により火災のリスクが高まります。
また、九龍村は正式な住宅地ではないため、水道やガスなどのインフラも不安定で、生活環境は非常に厳しいものがあります。洗濯物が干されていました。
九龍村は長年にわたり再開発の対象となっており、住民の移転計画が進められています。
政府は住民のための新たな住宅を建設する計画を立てていますが、立ち退きをめぐる問題もあり、なかなかスムーズに進んでいないのが現状です。
訪問中に出会った村の住人の中には、「ここを離れたくない」と話す人もいました。「長年住み慣れた場所を離れるのはつらい」「再開発後の新しい生活がどうなるかわからない」という不安があるのです。一方で、「もっと快適な生活ができるなら移りたい」という意見の人もおり、住民の考え方はさまざまです。
九龍村がなくなる日が来るのか、それとも形を変えて存続するのか、未来はまだはっきりとは見えていません。しかし、この地で暮らす人々の生活や歴史は、韓国社会の発展の陰にある一つの現実を映し出していると感じました。
華やかな江南のすぐそばにこうしたスラム街があるのは異様な雰囲気です。
まとめ
九龍村を訪れてみて、ソウルの持つもう一つの顔を知ることができました。
近代的な都市のすぐそばに、経済的に困難な状況に置かれた人々が暮らす場所があるという現実を目の当たりにし、考えさせられることが多くありました。
韓国は経済的に大きく発展した国ですが、格差の問題は依然として根深く、九龍村はその象徴とも言えます。旅行者として訪れるだけでは見えない韓国の一面を知るためにも、こうした場所に足を運び、現実を自分の目で見ることの大切さを感じます。
もしソウルを訪れる機会があれば、このような地域の存在について考えてみるのも、旅の新たな視点を持つきっかけになるかもしれません。ぜひ行ってみてください!お試しあれ!
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