望景亭ってみなさんご存じでしょうか?
大正時代に建てられた近代和風建築の回遊式庭園で、安藤忠雄建築の文学館の水景庭園とマッチした庭屋です。
姫路城の隣にある好古園という庭園が有名ですが、この望景亭は有名観光誌にも取り上げられていないので、ほとんどの人が知らない回遊式庭園だと思います。姫路市民の方でも、10人に1人が知っているかどうかのマニアックなスポットです。
今回は、望景亭の建築について詳しく紹介していきます。
本記事を書いている建築士の僕は、海外建築旅というテーマで、過去に30か国以上訪問してきた経験から、旅のコツを経験をもとに得た情報を発信しています。また、お金をあまりかけずにお得に生活するコツなども紹介しています。
望景亭アクセス 姫路文学館の奥まった一角にある
望景亭は姫路文学館の奥にあるので、姫路文学館を目指していけば大丈夫です。姫路観光に来ている人なら姫路城に観光する人が多いと思うので、姫路城からの行き方を紹介します。
姫路城内の三の丸広場からなら、城の東側の坂を登って、姫山公園内を通り、清水門跡のとこから西へ徒歩5分歩けば姫路文学館に着きます。
姫山公園内も緑が多く、季節の四季が感じられるので散歩に非常におすすめです。
正面の桜門橋からであれば、西周りから清水門の方へ抜けると早いです。
清水門から文学館までは直線で、城下町の古い街並みを歩きます。
文学館の緩やかな坂を登ると奥に見えているのが望景亭です。
反対からの景色はこんな感じで、安藤忠雄建築の水景庭園を味わうことができます。
望景亭の概要
望景亭ってどんな建築なの?
贅をつくした感が漂う国登録有形文化財建造物の「望景亭」は、市内の実業家である濱本氏の別邸として、大正5年から昭和4年まで約13年の歳月をかけて建築されたものの一部だそうで、濱本氏の後には陸軍姫路師団の連隊長として着任した皇族・賀陽宮恒憲殿下が住まわれたこともあるなど、姫路の迎賓館的な意味合いのあった建物のようです。
市の所有になった昭和33年から同51年までは「男山市民寮」の名のもと、結婚式場として利用されていました。
昭和62年に姫路文学館を建築するにあたり、望景亭の東側の3分の2を取り壊し、現在西側の部分が修復整備されています。
平成3年に「望景亭」と名付けられ、平成21年に国の重要文化財に指定されています。
望景亭訪問レビュー
建物の配置図はこんな感じで池や石垣、芝生、松などの木々がある庭が広がっていますね。
大きな唐破風の玄関から中に入ると広い土間スペースがあります。
土間をあがると最初に応接間あり、平成の修築時に増築された洋室で、他の建物と違和感のないよう現代和風的な趣に造られています。
奥に進むと回遊式の廊下があり、迷路のような造りになっています。
分かれ道があり、内1つが茶室です。
廊下から茶室に向かうと正面に派手な色彩の板戸絵が待ち受けており、右手にあるのが水屋と8畳の茶室です。
障子の引手、網代天井、トコ脇前の船底天井など細部が非常に作り込まれていて日本建築の技が感じられる和室です。
開口部が広くとられているので庭園を望む風情バッチリですね。
大正から戦前ぐらいまでの富裕層のお茶席として使われていそうな雰囲気です。
茶室から廊下を渡っていくと二間続きの広い和室に着きます。
18畳の座敷に12畳の次の間を並べた豪勢かつ広大な部屋で、奥の座敷に本格的な床の間を設えた書院建築になっています。
襖の引手や欄間、書院の障子、長押など洒落た細工物が随所に見られ、これまた戦前の富裕層のお座敷と見ることができますね。特に欄間や障子はとても繊細で高級ホテルにありそうなゴージャスな作りです。
照明もレトロな面影をしています。
ここも庭園がゆったり眺められるようガラス戸がはめられています。
古い国産ガラスがはめてあるので表面に歪みもあり、レトロな和の空間となっていてゆったりと落ち着きます。
池が設けられ鯉も泳いでいます。
腰掛待合もあり、そこから眺める和室や茶室が離宮みたいな存在感があり、素晴らしい景色です。無料とは思えない心落ち着く景色だと思います。
外回りも綺麗に整備されています。
補足 姫路城周辺の知られていない建築を紹介
世の中の人がほとんど知らない建築物を1つ紹介します。
黒川紀章設計の建築物で、トイレに1億、休憩所に1億といわれ、ついた通称が「2億円トイレ」と呼ばれる扇観亭。
是非ここも訪れてみよう。詳しくはこちらの記事で!
まとめ
姫路市内に美しい姿を残す日本建築「望景亭」を紹介してきました。
開放的なつくりの和室から美しい庭園の眺望をみることができ、四季を感じる様々な板戸絵、欄間や組子障子、戸襖の取手など、意匠が凝らされた和の空間が味わえるので、姫路城に行ったついでに是非ここも訪れてみてはいかがでしょか。無料で入れて、おすすめです。
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