中国湖南省にある張家界・武陵源。
ここには、別世界に迷い込んだかのような、奇妙で壮大な自然景観が広がっています。
山々の間から天高く伸びる無数の岩柱、深い渓谷を覆う森林、そして雲や霧の中に浮かび上がる幻想的な峰々。日本ではなかなか見ることのできない、圧倒的なスケールの景色を楽しめる場所です。
張家界の魅力を代表するのが、武陵源風景名勝区に広がる石英砂岩の峰林地形です。長い年月をかけた風化や浸食によって、岩山が細長い柱のような姿になり、独特の景観が生まれました。
今回は、天子山ロープウェイから始まる張家界の絶景を中心に、天子山、楊家界、袁家界という3つの景区を紹介します。
武陵源とは?

武陵源は、中国湖南省の張家界市に位置する景勝地です。石英砂岩が長い年月をかけて浸食されて生まれた、数千もの奇岩や岩峰が連なる独特の地形で知られています。

1992年にはユネスコの世界自然遺産に登録され、2004年には世界ジオパークにも認定されました。さらに、1982年には中国初の国家森林公園である張家界国家森林公園が設立されています。
武陵源の魅力は、何といっても天に向かってそびえる無数の岩峰です。山々が幾重にも重なり、深い谷や森林と組み合わさることで、まるで別世界のような景観が広がっています。映画『アバター』に登場する浮遊山の着想源のひとつとしても知られ、世界中から観光客が訪れます。

武陵源の主な観光エリア

武陵源の中心となる張家界国家森林公園では、広大な山岳景観のなかに、天子山景区、袁家界景区、楊家界景区、黄石寨景区の4つの観光景区が点在しています。
天子山では、御筆峰などの奇峰が連なる大パノラマを楽しめます。袁家界では、映画『アバター』の浮遊山を思わせる乾坤柱や天下第一橋が見どころです。楊家界では、天然長城や天波府など、険しい岩峰と岩壁が織りなす景観を楽しめます。
このほか、黄石寨では山頂からの眺望、金鞭渓では渓谷沿いの散策、十里画廊では細長い岩峰が連なる風景を楽しめます。
入場券と園内交通

武陵源の中心エリアは非常に広く、入場券のほかにロープウェイや百龍エレベーターなどの交通料金が必要になります。
入場券と園内バスを組み合わせたチケットに加えて、ロープウェイや百龍エレベーターなどの乗り物を含むセット券の購入がお勧めです。
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アバターの世界 武陵源景区へ訪問!

武陵源へは、張家界市街地や張家界荷花国際空港、張家界西駅などを起点にアクセスできます。市街地からはバスやタクシーなどを利用して、各入場ゲートへ向かいます。
武陵源には複数の入場ゲートがありますが、天子山、袁家界、楊家界を中心に巡る場合は東門A線がおすすめ!ここです。

園内の交通ルートも含めて事前に計画しておくとスムーズです。
天子山ロープウェイ 空へと昇る絶景の空中散歩

武陵源観光の最初はまず、天子山景区に向かいます。天子山景区の観光の見どころのひとつが、天子山ロープウェイです。

ロープウェイは単なる移動手段ではなく、張家界の独特な地形を立体的に体感できる、観光の見どころのひとつです。

ロープウェイに乗り込むと、眼下には緑に覆われた山々が広がり、やがて周囲の景色が大きく変わっていきます。平地から見上げていた山々を、今度は空中から見下ろすことができるのです。

高度が上がるにつれて、山の斜面や深い谷、そして天に向かって伸びる岩峰が次々と姿を現します。遠くまで連なる山々は、まるで巨大な石柱が大地から生えているかのようです。

ロープウェー終点に着いたらそこから園内バスに乗って、天子山景区に向かいます。

第1の景区:天子山 奇峰が連なる壮大な峰林

天子山は、張家界を代表する絶景エリアのひとつです。
このエリアの最大の特徴は、展望台から見渡す広大な峰林の景観です。細長い岩峰があちこちに立ち並び、その間には深い谷が広がっています。
一つひとつの峰は形も高さも異なり、自然が長い年月をかけてつくり出した彫刻のようです。遠くまで続く岩峰群を眺めていると、自然の造形力のすごさに圧巻です。
御筆峰 天に向かって伸びる天然の筆

天子山を代表する名所が「御筆峰」です。
細長い岩峰が何本も並んでそびえ立つ姿が特徴で、まるで筆を逆さにして天に向けて立てたかのように見えることから、この名が付けられています。

岩峰の下部には森林が広がり、その上に細長い岩が突き出しています。自然が生み出したとは思えないほど独特な形状で、張家界らしさを象徴する景観のひとつです。
仙女散花 神話の世界を思わせる奇岩

もうひとつの見どころが「仙女散花」です。
仙女が花をまき散らしている姿を連想させることから名付けられた景観です。中国の観光地では、山や岩の形を神話や伝説に結び付けた名称が多く見られます。
ただ奇妙な形をした岩を見るだけではなく、その姿に人々がどのような物語を重ねてきたのかを想像するのも、中国の山岳景勝地を楽しむ面白さです。

第2の景区:楊家界 荒々しい自然の迫力を味わう

楊家界では、整った展望台から眺める景色だけでなく、険しい岩峰や山道が生み出す迫力も楽しめます。
細長い岩柱が林立する景観とは異なり、岩壁が連なり、山全体が複雑な形状を見せる風景には、独特の力強さがあります。
楊家界景区を訪れたら、ぜひ注目したい名所が「天波府」です。
天波府 切り立った岩峰と山々を見渡す絶景スポット

天波府は、険しい岩峰が連なる楊家界を代表する展望スポットのひとつです。周囲には、垂直に切り立った岩壁や、幾重にも連なる峰々が広がり、張家界ならではのダイナミックな自然景観を楽しめます。
この場所の魅力は、遠くに広がる山々を眺めるだけでなく、目の前に迫る岩峰の迫力を感じられることです。細長い岩柱がいくつも並び、その間には深い谷が広がっています。岩峰の頂上には緑の植物が生い茂り、灰色の岩肌とのコントラストが印象的です。

天波府の展望エリアへ向かう道には、急な階段や足場の狭い場所があるため、移動そのものにも冒険的な雰囲気があります。

展望地点から見渡す景色は、まさに張家界の自然が生み出した巨大な迷宮のようです。岩峰が連なる山並みを眺めていると、自然が長い年月をかけてつくり上げた地形の複雑さと壮大さを実感できます。

烏龍寨 険しい山道の先に広がる景観

さらに楊家界の見どころとして知られるのが烏龍寨です。
険しい山地に位置し、独特な岩山や起伏に富んだ地形を楽しめるエリアです。山道や岩場を進む場所もあるため、展望台を巡るだけの観光とは違った、冒険的な雰囲気があります。

山の地形を間近に感じながら進むと、張家界が単に美しい景色を見るだけの場所ではなく、複雑な山岳地形そのものを体験できる場所だと分かります。

第3の景区:袁家界 映画『アバター』を思わせる奇岩の世界

張家界を訪れたら、必ず見ておきたいのが袁家界です。
袁家界は、石柱状の岩峰が密集するエリアとして知られています。展望台から眺めると、無数の岩峰が深い谷から立ち上がり、遠くまで連なっています。

岩峰の頂上には樹木が生い茂り、岩肌は垂直に切り立っています。その姿は現実の風景でありながら、まるでファンタジー映画の舞台のようです。
乾坤柱 映画『アバター』の世界を連想させる岩峰

袁家界の代表的な名所が「乾坤柱」です。
細長い岩柱が垂直にそびえ立ち、その頂上には緑の植物が茂っています。巨大な柱が地面から突き出したような姿は、張家界の地形を象徴する景観のひとつです。
この岩峰は、映画『アバター』に登場する浮遊山「ハレルヤ山」の着想源として広く知られています。

映画のなかでは、巨大な岩山が空中に浮かび、幻想的な世界をつくり出していました。袁家界の実際の風景を眺めると、なぜこのような景観が映画の世界観に結び付いたのか、納得できるはずです。

現実の岩山が空中に浮いているわけではありません。しかし、深い谷と垂直にそびえる岩峰、そして頂上を覆う緑が組み合わさることで、非現実的とも思える風景が生まれています。
迷魂台 思わず見入ってしまう峰林の大パノラマ

袁家界の展望スポットとして有名なのが迷魂台です。
ここからは、大小さまざまな岩峰が密集する張家界らしい風景を一望できます。一本一本の岩峰は異なる形をしているのに、全体として見ると見事な景観を形成しています。

展望台から遠くを眺めていると、どこまで山が続いているのか分からなくなるほどです。岩峰の間には深い谷があり、その高低差が景色に立体感を与えています。

名前のとおり、思わず心を奪われ、時間を忘れてしまいそうな場所です。
天下第一橋 自然がつくり出した巨大な石橋

袁家界には「天下第一橋」という名所もあります。
これは、二つの巨大な岩峰の間に自然に形成された石橋状の地形です。長い年月をかけて岩が浸食され、岩峰同士をつなぐような形が残りました。

人工的に造られた橋ではなく、自然の力によって生まれた地形であることが大きな特徴です。
橋のように見える岩の上部には植物が育ち、周囲には深い谷が広がっています。地形がどのように変化して、このような形になったのかを考えながら眺めると、景色の見方も変わってきます。

百龍エレベーター 断崖絶壁を一気に上る世界的な屋外エレベーター

武陵源観光の名物のひとつが、袁家界景区付近にある「百龍エレベーター」です。
袁家界景区を観光後に東門へ帰る際に乗る時に利用しました。特に袁家界を観光する場合は、百龍エレベーターを利用することで、山上の奇岩群へアクセスしやすくなります。
百龍エレベーターは、切り立った巨大な岩壁に設置された屋外エレベーターで、山の下から山上の観光エリアまで一気に移動できます。

周囲には張家界特有の石英砂岩の峰々がそびえ立ち、一般的な建物内のエレベーターとはまったく違う、迫力満点の乗車体験が楽しめます。

エレベーターは岩壁の外側を上昇する構造で、乗車中には窓越しに山々や深い谷が広がります。山の上へ向かうにつれて視界が開け、張家界の独特な地形を一望できるのが魅力です。

百龍エレベーターの高低差は約326メートル。山岳地帯の移動時間を短縮できるため、広大な武陵源を効率よく巡るうえでも重要な交通手段となっています。
観光の注意点

武陵源は広大なため、主要な景観をじっくり楽しむなら2、3日程度がおすすめです。チケットは4日間有効なのでのんびり楽しむなら4日間も可能です。
1日だけでも代表的な景色を巡ることはできますが、移動時間が長くなり、天候によっては展望台からの景色を十分に楽しめない場合もあります。
天子山ロープウェイから楊家界、袁家界へと巡るルートを組めば、張家界を代表する奇岩景観を効率よく楽しめると思います。
時間に余裕があれば、金鞭渓や十里画廊も組み合わせると、山頂からの絶景とは異なる武陵源の魅力を発見できます。

また、園内の移動距離が長いため、すべてを徒歩で巡るのは現実的ではありません。ロープウェイや園内バスを上手に利用することで、効率よく観光できます。
まとめ

張家界は、自然が長い年月をかけてつくり上げた、世界でも特徴的な峰林景観を楽しめる場所です。
天子山ロープウェイから始まる空中散歩、山頂から見渡す大パノラマ、そして独特な岩峰や峰壁の数々、断崖絶壁のエレベーター。同じ張家界でも、訪れるエリアによって異なる感動があります。
中国には広大な国土のなかに数多くの絶景がありますが、張家界のように自然の造形そのものが非日常の世界をつくり出している場所は、とても印象的です。雄大な自然を自分の目で確かめたい人にとって、張家界は中国旅行で一度は訪れてほしい観光地のひとつです。
ぜひあなたもお試しあれ!
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